只今休業中です。と、店名の由来
コラム
こんにちは、調理担当川上です。
テイクアウト営業が終了して、8/15より休業とさせていただいております。
営業再開は緊急事態宣言解除のタイミングとなるかと思われ、
まだ暫くかかりそうなので、
たまには店に関する小噺なんてものを書いてみようかと。
ということで、今回は店名の由来についてです。
(そこそこ長めなので、お暇な方だけお読みください)
店名の「Plumier」、
こちらはフランス語の名詞で、意味は「筆箱」です。
フランス語で「羽」という意味の「plume」から派生して、羽ペンを入れる箱ということで「plumier」となったそうです。
現在では布やレザー製の物も含むようで、日本で言う「ペンケース」のイメージに近いでしょうか。
では、何故この単語なのか、ということですが。
遡る事2017年3月末頃。
店舗物件の契約完了まであと少しという、さぁこれから開店に向けてやる事が山積みだという状況で、
まず何をするにも必要なのが店名でした。
保健所や税務署など役所関連への申請をするにも、業者との取引開始にあたり書面を交わすのにも、
とにかく店名が必要です。
ですがこれといった案は何も浮かんでいませんでした。
そもそも、物件が見つかるまでが思いの外早かったんです。
飲食店の物件探しは、場合によっては半年がかりなどとも聞いていたのですが、
運良く有能な不動産屋さんのお陰で一か月半程で見つかりました。
それ自体はとてもラッキーだったのですが、
開業に向けてのあれこれは物件を探しながらじっくりと、なんて考えていたので、
この予想外の早さでの物件取得により、店名を含めて色々な事を決めるのに猶予が殆どない状況となっていました。
店名に関して漠然と考えていた事は二つでした。
1、フランス語
2、あまり読みづらくない一つの単語
料理もワインもフランスがメインなので、店名もフランス語にしたい。
そして、定冠詞や前置詞(le、la、deなど)が入ったり長めの名前は固い印象を受けるような気がして、目指す店の雰囲気や価格帯などから考えると、もっと親しみ易いような名前に、一単語にしたいと思っていました。
まずはこの条件に合う単語をWEBで検索したり、フランス語の辞書をめくって探してみました。
店の雰囲気やコンセプトに合いそうなジャンルとして、
手始めに食品、ワイン、フランスの地名などから考えてみましたが、
なんだかベタというかダイレクト過ぎるというか、縛りすぎるような気がしてもう少し広げてみることに。
自分が多少でも興味のあるジャンルとして、
動物、植物、色、ステーショナリー、音楽、自然、服飾などから、最終的には概念的な言葉や動詞や形容詞にまで広げて、
単語の意味自体はそこまで重要視せず条件に合いそうな物を書き留めていきました。
最終的に候補を15個くらいにまで絞ったものの、決め手が無くどれもしっくり来ない。
そんな状況でソムリエールと打ち合わせを行う事になりました。
土曜日の夕方、場所は新宿のとある店。
ワインを飲みながら、真っ先に議題に挙げたのが店名でした。
絞り切れていない候補一覧を見せて、僕なりの選定基準などを説明しました。
「これなんかいいんじゃない?」
全体を見た後にソムリエールが差したのが「Plumier」でした。
字面や響き等では、確かに僕も良さそうだと思っていた物の一つでした。
ですが「筆箱」という意味がこれといって店に関係しない事がひっかかっていました。
その懸念を伝えると、こう言われました。
「店の形が長細いし、筆箱っぽいってことでいいんじゃない?」
そう来たか!!
そこそこ無理矢理感もあるけど、それは考えもしなかった!!
「それと、”premier cru”ともかけられなくもないかと」
“premier cru”(プルミエ クリュ)とは、フランスでワインの等級を表す単語で、
“premier”は英語でいう”premium”の意味。
“plumier”とは少し発音は違うものの、ワインを出す店としては引っ掛けられなくも無い。
そう聞くと、俄然これがとてもぴったりな気がしてきました。
押しに弱く他人の意見に流され易い僕は、
ソムリエールの進言によってあんなに悩んでいたのが嘘のように
「これしかない!」という気持ちに固まりました。
同時に「もう決めてしまって早く先に進みたい!」という気持ちもそこそこあったような気もします。
「そうだよね、これだったら色々と条件にも合うし、由来の説明もできそうだしね!」
これでいこう、と自らを説得するように言葉を並べる僕に対してソムリエールからは
「店名にそこまで意味とか必要?」のような事も言われたような気もします。
固定概念が強い僕と、何事にも柔軟な思考のソムリエールとの違いは、思えばこの頃から表れていたようにも感じます。
正味3分程度。
こうしてあっさりと店名は決定しました。
店名の由来を聞かれた際には、
「響きや字面で決めたので、大した意味はありません」とお答えする事が多いです(笑)
ということで、店名の由来でした。
ご拝読いただきまして、ありがとうございます。
それではまた!